追悼文：　相原君の思い出

平山　眞（昭和40年卒）

 

相原君との最初の出会いは経済Ｑ組の最初のクラスの集まりだった。彼の家が目白で私の家が下落合であったこともあり、近くなので学校の行き帰りや休みに会ったりして、最初はかなり頻繁に行き来をした。Ｑ組のクラスでは彼は余り出席率が良くなかった。第二外国語のフランス語の試験では、いつも外交官の息子でフランスに住んでいたことのあるＫ君の後ろに座り要領よく回答を仕上げてさっさと退出、成績はいつも私より上だった。また、故野田威彦君と３人で第三外国語としてロシア語を選択した。最初は、仲良く３人で出席していたのだが、次第に彼の出席回数が減り、試験のときには野田君か私の後ろに座り、私たちの回答を覗き見るのが常だった。　

 

三田キャムはそのロシア語グループの３人で一緒に入部したのだが、３人の中で部活の成績優秀なのは野田君で、相原君も私も幽霊部員に近かったのではないかと思う。にもかかわらず、私が米国駐在から帰国した1994年ごろから、藤森君や松田君のご好意により各ご自宅で、例年新年に開催される同期を中心としたＯＢグループの集まりに参加させていただいている。藤森夫妻や松田夫妻に、また初めのころには松木夫妻や故久保田君・奥様にもたいへんお世話になり、お心づくしのおもてなしを受け感謝の念に堪えない。この場を借りてお礼を申し上げたい。

 

慶応大学を卒業してからは、相原君と私はお互いに進む道が異なり、私は就職してから間もなく米国駐在になってしまったこともあり、没交渉となってしまった。風の便りに、彼はいろいろな事情があって、最後には慶応大学受験予備校の先生をしているとの噂を耳にした、とても良い先生で人気があるとか。また、真偽のほどは良く分からないけれど、再婚をしたとかしないとかいうことも伝え聞いたりしていた。

 

御巣鷹山でＪＡＬ機が墜落した年の夏休みに家族と箱根のホテルに泊まった。息子とそのホテルのプールで泳いでいたときに、偶々そのホテルのプールサイドで彼が再婚相手らしき女性と二人で一緒に、お酒を飲んでいることに気がついた。邪魔しても悪いと思って、一言、二言交わして別れてしまった。今から思うと残念なことをしたと思う。

 

私は仕事で海外を飛び回っていることが多かったため、不定期なＱ組クラス会に、私が出席したときには相原君が欠席、相原君が出席したときには私が欠席という具合に、いつもすれ違ってしまっていて、残念ながら彼と会う機会はなかった。

 

去年、Ｑ組クラス会の準備会で、相原君の消息を知り、彼がある病に犯されていることを知った。電話でなら話ができそうだということを知り、彼に電話を試みた。最初、奥様らしき人物が電話口に出たので、私の素性を名乗り事情を話すと、「余り良く会話ができないのですが、」と言いながらも彼と話をする機会を与えてくださった。話をしてみると昔の彼とは全く違う人物と話をしているようでショックだった。これが彼との最後の会話となってしまった。

 

人生まことに儚い、何れ私たちも此岸から彼岸に渡るのである。相原君のご冥福をお祈りするとともに、彼岸での再会を期したい。