故真鍋勝紀君のビジネス人生

 

中山　尚彦（昭和37年卒業）

 

　去る６月５日真鍋勝紀君が死去した。67才の早過ぎる死ではあったが、やりたいことをやった充実したビジネス人生だったと思う。

　真鍋君は昭和37年卒業後１年半のサラリーマン人生を経てゲーム会社を創業し、まずメダルゲームという新しい遊びを自ら考案しその事業化に成功した。これはゲーム機械を動かす媒体としてメダルを使うが、ゲームに勝ってメダルを山のように獲得しても、パチンコ屋のように換金したり景品に替えたりしないただの遊びであるという仕組みである。

　メダルゲーム機械の開発製造販売を軌道に乗せてから、ラスベガスにカジノ向け機械の製造販売会社を設立して成功を収めた。さらに1987年にはラスベガスのダウンタウンに「パークホテル＆カジノ」という客室数420室のカジノホテルを開業したのである。

　ラスベガスに家を買って居住し、日本とアメリカを往復する超多忙な生活を過ごした。

　その間現地会社のセールスマネージャーが在職のままラスベガス市長選挙に立候補して、対立候補が選挙民に「君達は日本人のボスに仕える市長を持ちたいのか」と散々アジッたにもかかわらず見事に当選して、アメリカ国民のフェアプレー精神にふれ、また真鍋がラスベガス市民から信用されていることを感じる出来事もあった。

　（日本の会社「シグマ」の株式を公開するためにカジノホテルは２年後に売却した。）

　残念ながら、真鍋君はおいしい食事を食べ過ぎ、おいしいお酒を飲み過ぎ、さらにストレスにさらされ過ぎたためと思われる糖尿病に冒されてからは元気を失って行き、会社は売却して引退し、最後の１年半は病院生活を送った。

　なお、一人息子の真鍋慶行君は、慶応大学商学部を卒業していったんコンピューター会社に就職したが、１年で辞めて今はゲーム業界で活躍している。